Random Subgraphs Of Finite Graphs: III. The Phase Transition For The n-Cube

Christian Borgs, Jennifer T. Chayes, Remco van der Hofstad, Gordon Slade and Joel Spencer
Combinatorica
Volume 26, Number 4 / August, 2006
Pages 395-410
http://dx.doi.org/10.1007/s00493-006-0022-1

超立方体のランダム部分グラフに関する論文.
ランダムグラフのモデルは各辺が確率pで選ばれるというErdos-Renyiモデルの類似.
このモデルをはじめに考察したのはErdos & Spencer (1979) だそうで,
彼らは上述のランダム部分グラフが連結である確率の収束先がp<1/2のときに0,p=1/2のときに1/e,p>1/2のときに1となることを示したようだ.(いわゆる閾値現象.)
また彼らはp=(1+ε)/nでε<0のとき最大サイズ連結成分の頂点数がo(V)になることも示し
(ここでnは超立方体の次元,Vは超立方体の頂点数,すなわちV=2^n),
ε>0のときにはそれがΘ(V)になることを予想した.(いわゆる相転移.)
この予想が正しいことを証明したのはAjtai, Komlos & Szemeredi (1982) で,
彼らはsprinklingという技法を使ったようだ.これはパーコレーションに似てるらしい.
(論文のイントロしか読んでないから,こんな煮え切らない言い方ばかりですいません.)
しかし彼らの結果はεが定数の場合にしか適用できない.
定数じゃない場合の結果が後にBollobas, Kohayakawa & Luczak (1992) で証明され,彼らは
n→∞のときε→0となる場合の確率p=(1+ε)/nを考えた.
そして,ε≦-(log n)^2 /( (loglog n) n^(1/2) ) のときasymptotically almost surelyで
最大サイズ連結成分の頂点数が(2log V)(1+o(1))/ε^2となり,
ε≧60(log n)^3/nのときasympototically almost surelyで最大サイズ連結成分の頂点数が2εV(1+o(1))となることを示した.
しかしこの場合に臨界的なpがまだ判明しているわけではない.
この研究論文は3部作で,この問題に挑んでいる.これは3部作の3本目で臨界閾値 (critical threshold) という概念を定義して,問題を精緻化している.