Log-concavity and LC-positivity

Yi Wang, and Yeong-Nan Yeh
Journal of Combinatorial Theory, Series A
Volume 114, Issue 2 , February 2007, Pages 195-210
http://dx.doi.org/10.1016/j.jcta.2006.02.001


数え上げ組合せ論の論文.
非負数列の単調性や単峰性を示すことは重要であるが,そのために使える条件がいろいろとある.

数列\{x_k\}がlog-concaveであるとは,すべてのi>0に対してx_{i-1}x_{i+1}\le x_i^2が成り立つことである.(つまり,\log x_kが凹になることである.)


一方,\{a(n,k)\}_{0\le k\le n}という形の数列を三角形と呼ぶことにする.
(パスカルの三角形を思い起こしてもらえばよい.)
ここでlog-concaveな数列\{x_k\}に対して,z_n = \sum_{k=0}^{n}a(n,k)x_kで定義される数列\{z_n\}もlog-concaveになるならば三角形\{a(n,k)\}_{0\le k\le n}をPLCと呼ぶことにする.
また,log-concaveな2つの数列\{x_k\}\{y_k\}に対して
z_n=\sum_{k=0}^{n}a(n,k)x_k y_{n-k}もlog-concaveになるならば,三角形\{a(n,k)\}_{0\le k\le n}をdouble-PLCと呼ぶことにする.


では,いわゆる「q-analogue」を考えることにする.
qを変数とする1変数多項式の列\{ f_n(q) \}がq-log-concaveであるとは,任意の n\ge 1に対してf_n^2(q)-f_{n-1}(q)f_{n+1}(q)の係数が非負となることである.
また,三角形\{a(n,k)\}_{0\le k\le n}から多項式A_r(n:q)=\sum_{k=r}^{n}a(n,k)q^kを作ったとき,この三角形がLC-positiveであるとは,任意のr\ge 0に対してnに関する多項式の列\{A_r(n;q)\}_{n\ge r}がq-log-concaveになることであり,また,double LC-positiveであるとは,三角形\{a(n,n-k)\}_{0\le k\le n}もLC-positiveとなることである.


定理として,LC-positiveな三角形がPLCであることと,double LC-positiveな三角形がdouble PLCであることが示されている.
その定理の応用として,Ligett (1997) の定理の別証明を与えている.
著者の考えによれば,新しい証明の方が見通しがよいようである.