Short Coding

Short Coding ~職人達の技法~

Short Coding ~職人達の技法~

読みました.

まず注意ですが,私のような大学教員からするとこれは授業で学生に薦めるような本ではないです.
この本を読んでプログラミングを勉強しようと思うのは間違っていると思うのでやめましょう.
それよりは,この本は楽しんで読む本です.「こういうことを考える人もいるんだ」とか,「こういうこともできるんだ」ということにすごいと思いながら驚きながら読む本です.

内容ですが個人的には楽しかったです.
プログラミング技法だけにとどまらず,アルゴリズムやデータ構造にも踏み込み,プログラム上の細かなチューニングを必要としているのに設計と実装を出来る限り分離するように努力している文章は読み応えがあります.
ただ,私が理論家だからかもしれないですが,アルゴリズムが正しいかどうかをあまり気にしていない趣きがあるので,その点を気にしているとなかなか読み進められないです.
しかし,先にも書きましたが,この本は楽しんで読む本なので,あまり細かいことに気を取られずに読んだほうがよいと思います.

さて,読む順番ですが,第1章を読んでショート・コーディングが何なのか大体理解したら,次に第5章を読んでください.
第5章では著者のショート・コーディングに対する熱い気持ちや基礎となる考え方が述べられています.
そこを理解してから第2章以降を見ないと,単なるプログラミング技法の一覧を見物するだけになってしまうかもしれませんし,そうなってしまえば,著者のメッセージを汲み取ることはできないでしょう.
プログラミングに対するこだわりがある人には (どんなこだわりであるにせよ) お薦めしたい一冊です.