シューマン

実家に帰ってふとシューマンの「こどものためのアルバム 作品68」 (音楽之友社) を眺めていたら,その最後に「音楽の座右銘」 (Musical Rules For Life and the Home) というものが載っていて,そのいくつかは数学や理論計算機科学にも通じるところがあるなーと思って,感心しました.それをここで紹介します.もちろん本来はピアノに関する教訓なので,そこは注意して下さい.

  • 小さい頃から,和声の基礎を勉強しなさい. ――― 〈理論〉とか,〈通奏低音〉とか,〈対位法〉とかいった言葉におじけづくことはないのです.これらは使いさえすれば,いつもあなたを好意的に迎えてくれるでしょう.(Don't be scared of words like Theory, Thorough Bass, Counterpoint etc. Approach them in a friendly spirit, and they'll do the same to you.)
  • やさしい曲を,上手に,美しくひくように努力しなさい.難しい曲をいい加減にひくよりはずっとましです.(Make the effort to play easy pieces cleanly and beautifully; that's better than giving a second-rate performance of a difficult piece.)
  • あらゆる見せかけのものは,時代とともに移り変わってしまいます.技巧は,それがより高い目的に奉仕するところでだけ価値をもつのです.(Showy passages fade as time passes; technique is only of value when it severs a higher purpose.)
  • 早くから,いろいろな楽器の音と特徴に注意深くなりなさい.それらの固有の音色をあなたの耳に刻みつけるようにしなさい.(Pay attention from the start to the sound and character of the different instruments; try to impress their various tone-qualities on your ear.)
  • ほかの芸術や学問においてもそうですが,生活の中でも自分の身辺をよく見回しておきなさい.(Be an industrious student of life, and also of other arts and sciences.)
  • 形式のことが完全にわかってこそはじめて,精神のことがわかるでしょう.(Only when the form is clear to you, will the spirit also be revealed.)
  • 学ぶことに終りはありません.(There is never an end to learning.)

ことばとその英語は本に載っていたもののままです.ドイツ語も(おそらく)載っていたのですが,読み取れなかったので省略します.