CCCG 1日目

査読付き国際会議ではないですが,いろいろと面白い話があります.今日聞いた話をまとめます.

New Algorithms for Computing Maximum Perimeter and Maximum Area of the Convex Hull of Imprecise Inputs Based on the Parallel Line Segment Model

Wenqi Ju, Jun Luo

点の位置に不確実性がある場合の計算幾何の話.これはユトレヒトのグループが精力的に研究を始めて,最近広く知れ渡るようになってきた.(最適化のコミュニティーロバスト最適化と呼んでいるものと枠組は同じだと思う.)
特にこの研究ではLoeffler & van Kreveldの論文で考えた問題に対する計算量を改善している.

Optimal Empty Pseudo-Triangles in a Point Set

Hee-Kap Ahn, Sang Won Bae, Iris Reinbacher

与えられた点集合の中からある意味で最適な擬三角形を見つける問題に対するアルゴリズム.ただし,考える擬三角形は内部に他の点を含まない「空」のものだけを考える.目的は面積最大化,周長最小化,最長凹鎖長最小化.面積最大化については計算量がn^6なので,それは改善したいところ.

Clarkson's Algorithm for Violator Spaces

Yves Brise, Bernd Gaertner

Violator spaceというある種の最適化問題を公理化した枠組で,いわゆるClarksonのアルゴリズムをどのように考えるのかという話で,そのような話は前にもあったんだけど,ここではそれを単純化したよ,という内容.この公理化自体は私の好みに合うので,それ自体の組合せ的性質は調べてみたい気がした.

Computational Geometry of Contour Extraction

Pedro J. Tejada, Xiaojun Qi, Minghui Jiang

輪郭抽出は画像処理の基本的なプロセスだけども,それをピクセルベースではなくて,もっと計算幾何的に行おうという話,だと思う.

Enumeration of Polyominoes for p4 Tiling

Takashi Horiyama, Masato Samejima

ポリオミノの中である種のタイリングを作るものを列挙するという話.タイリングされる様子を表したアニメーションがうけてた.

Packing 2x2 unit squares into grid polygons is NP-complete

Dania El-Khechen, Muriel Dulieu, John Iacono, Nikolaj van Omme

(穴が空いていてもよい) グリッド多角形の中に2×2の正方形を最大いくつ詰めこめられるか,という問題がNPに入ることを示す,というのがメインの結果.NP困難性は分かっていたけども,NPに入るかどうかがよくわからなかったので,それを示すことでNP完全性がいえた,ということ.ただ,穴がない場合にはNP困難性が分かっていなくて,その場合が多項式時間で解けるのかNP困難になるのかは未解決.面白い問題.

Generalizations of Interval Graphs (Connections to Constraint Satisfaction)

Pavol Hell

これはPaul Erdos Memorial Lectureとして行われた招待講演.区間グラフとList H-coloringがどう関係しているのかという話.特にdichotomyに焦点が当てられていた.最近私もdichotomyには興味を持っているので割と楽しく聞けたけど,いかんせん昼食直後だったので1/4ぐらいの部分で記憶を失ってしまっていた.

Rigid Components of Random Graphs

Louis Theran

いわゆるErdos-Renyi型のランダム・グラフで,どのようなrigid componentが出現するかという話.

Angular rigidity in 3D: combinatorial characterizations and algorithms

Audrey Lee-St. John, Ileana Streinu

CADのソフトにSolidWorksというものがあるらしくて,そこでは角度制約というものを使ってモデリングができるらしい.それを動機として角度を固定する形のrigidityについて議論し,2次元の場合のLamanの特徴づけに似た定理を証明している.

Nucleation-free 3D rigidity

Jialong Cheng, Meera Sitharam, Ileana Streinu

3次元のbar-and-joint frameworkのrigidityを組合せ的に特徴づけることは大きな未解決問題になっているけども,SitharamとZhuoはある種の (完全であると証明されていない) アルゴリズムを提案した.この論文では彼らのアルゴリズムが「rigid」であると誤判定してしまうrigidでないframeworkを構成している.